本学看護学科では、COVID-19の影響により2021 年度の基礎看護学実習Ⅱをオンライン実習に変更した。本学科では臨床事例を用いて、実際の援助場面の動画視聴、電子カルテ情報の活用など病棟実習に近い状況の再現を目指した。患者情報は日々の変化がわかるよう段階的に提示し、オンライン実践後はすぐにグループで振り返りを行うなどの仕組みを作った。本稿では、当該実習を履修した看護学生を対象に臨床事例を用いたオンライン実習の教育効果について、実習前後のクリティカルシンキング測定をもとに検討した。その結果、クリティカルシンキング総得点は実習前後で有意に上昇していた。臨床事例を用いて段階的な思考過程を踏んだオンライン実習では、クリティカルシンキング力が高まることが示唆された。一方、因子別では「直観」の得点が最も低く、臨地での実習ができなかったことへの影響もみられた。