本実践報告は, 近年増加傾向にある外国人児童生徒の学習について, 所属する学級での教科学習の場でいかに協働的な学びを実現するかについて試行したものである. 実践対象校は教科担任制の中学校である. そこに所属する教員にとっても外国人生徒をどのように学びの場に巻き込めば効果的かを常に悩んでおり, 解決方策の検討は喫緊かつ重要な問題となっていた. そのため, 理科での試行的な授業実践を行い, その状況をふまえた教員研修を1回実施し,今後の検討材料とした. また, その後, 社会科での授業実践を行った.検討の結果, 外国人生徒を交えた授業実践において, 視覚教材を外国人生徒の母国語を交えた形で提示して思考させると, 現状よりも学びに参加できる状況が見られた. また, その状況を職員研修の場で教員集団と共有することで,教員も外国人生徒を交えた教科学習において, 協働的な学びを実践しようとするヒントを得て, 前向きに向き合おうとする姿勢を持つことができた. (外国人生徒は, 日本語の理解に困難さがあり日本語指導教室で学習している生徒を対象とした.)