学校教育実践研究

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学校教育実践研究 3
2020-03-30 発行

中学校家庭科授業における効果的な住居学習実施の困難点

The Difficulties in Performing Effective Housing Study in Junior High School Home Economics Class
田中 宏子 滋賀大学教育学部
亀崎 美苗 埼玉大学教育学部
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内容記述(抄録等)
家庭科の住領域の現状についてまとめ、当面する課題について考察した結果、下記の点が明らかとなった。家庭科における住領域の授業時間の平均は8.2時間であったが、4時間未満のケースも存在した。家庭科の時間数削減に伴って、授業時間数の制約による学習内容の希薄化が危惧される。学習内容は、「住まいのはたらき」「室内環境」「家族と住まい」「住まいの安全」が多く、学習内容の偏りおよび未履修項目の存在も懸念される。授業で使用する教具は教科書およびワークシートが主流で、図面は平面図が活用されていた。生徒の活動は、講義を受ける、話し合い、発表が多かったが、授業時間数が多くなる程多様な学習活動が行われていた。住生活関連の研修への参加は少なかった。また、授業の教材研究は教師用指導書が多く、特に、家庭科指導歴の浅い教員層において、その傾向が顕著であった。学校内外の人や団体との相談・連携に対する教師の関心度は、現状は別として高い傾向にあった。連携相手は、企業、自治体、NPO等、連携したい授業内容は、防災関連および地域コミュニティ等、新たに盛り込まれた内容や、地域の事情によって異なる内容についての希望が多かった。明らかとなった課題は、①住領域の授業時間数確保と学習内容・学習活動をバランスよく押さえることが必要で、そのためには授業時間数が少なくとも8時間程度確保されること、②平面図を用いた効果的な授業の開発が望まれること、③学習内容の保障のためには、情報取得の手段について幅広く周知すること、参加しやすい研修の機会を設けること、扱いやすい教材の普及、学外との連携と連携を可能にする環境の整備、の4点である。