生徒一人一人が疑問を見つけ探究のための課題を設定する3つの中学理科授業の実践を試みた。3つの授業実践を通して次の2点が考察できた。一つ目は, 「自然事象の観察」段階で提示する自然事象である。これまで学んだ知識だけでは説明がつかないが単元終了後には説明ができる自然事象であること, 比較ができ共通点や違いに目を向けて考えることができる要素があること, 本質的かつ生徒の想定を超えるもので生徒が驚きや感動をもつことができるものであることが重要である。二つ目は, 学習形態(個人, 班内, クラス全体) の組み合わせである。授業実践1では「疑問の認識」段階は個人で考え, それ以外の段階はクラス全体で考える学習形態の組み合わせ, 授業実践2では「疑問の認識」と「課題の発想」段階は個人で考え, それ以外の段階はクラス全体で考える学習形態の組み合わせ, 授業実践3では「疑問の認識」段階は個人で, 「疑問の共有」と「課題の発想」段階は班内で, 「課題の共有」と「課題の決定」段階はクラス全体で考える学習形態の組み合わせであった。これら3つの学習形態のどの組み合わせの授業が「課題把握(発見)」段階に適切であるかということは一概には言えないが, それぞれの特徴を理解した上で, どの学年, どの領域, どの単元で適しているのか, どのように組み合わせていくとよいのかといったことを考えながらカリキュラムマネジメントしていくことが重要である。