本研究は、島根大学教育学部附属小学校のこれまでの実践研究のあゆみについて概観し、附属小学校の実践研究の特色について考察することにより、その特色の一側面、附属中学校の実践研究との相違、現在の一貫教育研究への影響について明らかにすることを目的とする。附属小学校の実践研究の特色については、これまで附属小学校の研究において大切にされてきた「場」と「支え」という概念に着目して考察する。
附属小学校の実践研究のあゆみを概観すると、めざす子どもの姿の実現に向けた授業づくりの視点として「場」と「支え」という概念が、「授業の枠組み」と「はたらきかけ」という概念に引き継がれ、継続して大切にされていることが確認できる。附属中学校の実践研究と比較すると、研究内容の相違だけでなく、研究の継続性という面からも相違がみられる。また「授業の枠組み」「はたらきかけ」という視点は、一貫教育研究にも影響を与えており、附属小学校では現在も授業づくりを行う上で大切にされている。