児童の自尊感情を高めていくための支援の在り方を,ロールプレイング(RP)を手法として取り入れた授業形態を考案し,授業実践を通してその有用性を検討した。研究I(予備的研究)では,3人一組によるRPを手法として取り入れた授業(道徳・学級活動)の全体計画及び指導案を作成し,小規模校6年生を対象に授業実践を行った。3人一組によるRP体験を通して自己理解や他者理解が促進されたことが推察された。また,課題として自分のよさに気づくための手立ての工夫が示された。研究IIでは指導案の修正を行い,RP体験後の振り返りに修正を加え,大規模校6年生を対象に授業実践を行った。自尊感情評価尺度,他者理解アンケートにおいて有意差が認められ,児童の振り返りから,自分のよさへの気づきが促進された。3人一組によるRPを手法として取り入れた授業は,児童の自己理解や他者理解を促進し,児童の自尊感情を高めていくための手立てとして一定の効果をもたらす可能性が示唆された。