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                    島根農科大学研究報告 13 巻
    1965-01-10 発行
グレアム・グリーンの「娯楽物」
G. Greene's 'Entertainments'
矢野 道夫
本文ファイル
                
                    d0020013n031.pdf
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            内容記述
             G.Greene(1904一  )の小説にはNovel(本格小説,以下Nと略す)の外にEntertamment(娯楽物,以下Eと略す)と銘打たれた作品があることは周知の通りである。従来この区別はさほど重要ではない,何故なら彼のNの中にも娯楽的要素が充分含まれているし,その反面Eも決して調子を落したものでなく,彼の世界観,人生観が織りこまれているからだ,というのが日本では定説のようになっている。これは一般読者の側からいえば一応うなずける意見である。作者がその作品に何と名付けようとも,作品そのものが面白ければ満足できるからである。否,グリーンの場合には逆に彼のEこそ彼の小説の真髄をなす作品だと主張する者がファンの中にはあるであろう。しかしながら少し詳しく彼の作品を検討して見ようとするならば,当然「一体何故グリーンはEとNを区別したか」,「その区別はどこにおかれているか」,「そもそも彼は何故Eを書くであろうか」といった問題が浮び上って来る。本稿はこうした問題を中心として若干の考察を試みようとするものである。それは同時にクリーン文学の本質に触れることにもなるであろう。
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