Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University

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Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University 53
2020-02-17 発行

スイスドイツ語圏における歴史教師のビリーフ研究に関する考察 ―日本でのビリーフ調査の実施に向けて―

A Study of History Teacher’s Belief Study in the German-Speaking Part of Switzerland: Toward Conducting of a Belief Study in Japan
宇都宮 明子
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 本研究は、スイスドイツ語圏で歴史教師のビリーフ研究が近年盛んになされている理由を検討し、歴史教育学研究におけるビリーフ研究の意義を考察することで、日本において歴史教師のビリーフ調査を実施するための方途を解明することを目的とする。
 第Ⅱ章で、スイスドイツ語圏のビリーフ研究の代表事例として、ノルドヴェストシュヴァイツ教育大学の研究グループのビリーフ研究を取り上げ、その研究では歴史教師のビリーフは歴史理論的ビリーフと歴史教授学的ビリーフに構造規定されていること、両ビリーフの一般的傾向や各歴史教師の個人的特性や社会的文脈が両ビリーフに及ぼす影響といった個別的な傾向とともに、両ビリーフ間の相関性を究明するという研究方法論を採用していることを明らかにした。
 第Ⅲ章で、ビリーフ研究の意義は教師のプロフェッショナルコンピテンシーを明示し、その育成を図るスタンダードの作成に重要な役割を果たすことであり、ビリーフ研究を実施するための方策が歴史教師のビリーフを構造規定し、その構造がプロフェッショナルコンピテンシーの各領域に及ぼす影響を解明することで、プロフェッショナルコンピテンシーの内実を究明し、そのスタンダード化を図るためのビリーフ研究の方法論の確立であると示した。
 本研究での考察から、歴史教師のプロフェッショナルコンピテンシーを設定し、その育成を確実にするスタンダードを作成することが教師教育改革を実質的に進めるための方策で、教師のビリーフ研究はその方策の実現に向けて不可欠な研究であるとし、ビリーフ研究の再評価の重要性を論じた。
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