Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University

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Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University 53
2020-02-17 発行

中学校・高校における不登校生徒の進路状況の検討  ― 思春期外来の現状から ―

Investigation of the Status of Non-attendance Students at Junior High School and High Schools from the Adolescent Psychiatric Practice
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不登校や登校しぶりを呈する児童・生徒に対して様々な取り組みがなされているが, その数は減少しておらず, 学校内外での支援や指導が重要な教育的課題の一つになっている。不登校生徒は, ひきこもりやうつ状態,ゲーム障害, 睡眠障害などの2 次的な精神的問題を生じる可能性がある。このため早期からの適切な支援が必要である。また, これらの生徒の中学校から高校への進路や経過を追った報告は少なく, 不登校生徒がどのような経過をとり, どのような支援が有効であったかを示す情報が必要である。そこで, 本稿では実際に思春期外来で経過を追うことのできた中学生, 高校生84人について,その経過と中学での支援の状況について調査をおこなった。対象の84人のうち経過が「良好」であった者は70人で,「不良」であったものが14人であった。中学校で様々な支援を受けている生徒の方が経過は良好であった。また良好群でみると,中学を卒業して通信制高校に入学する者12人と,全日制の高校に進学して不登校になり,通信制高校に進路変更した者が19人と合計31人(44%)で, 柔軟な進路指導の有用性を示した。指導にあたっては, 多様な進路について特長を理解して行なう必要がある。