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島根大学教育学部紀要 Volume 51
published_at 2017-12-28
後期近代英語における残留動詞移動とknow類動詞の文法化
Residual Verb Movement in Late Modern English and Grammaticalization of Know-Class Verbs
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島根大学教育学部紀要_51_69-79.pdf
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本稿の目的は,縄田 (2016)の議論を発展させ,英語の史的コーパス調査から英語史における残留動詞移動現象の実態を明らかにするとともに,生成統語論の枠組みでこの現象を分析することである。初期近代英語において,多くの動詞は文中副詞や否定辞notに先行する語順からこれらの要素に後続する語順へと移行したが,know, believe, doubt, careなど一部の動詞はこの語順変化に抵抗し,否定文において引き続き古い語順を示し続けた。統語的パラメタ変異に基づく従来の分析では,これらの動詞の例外的振る舞いを説明することは難しかったが,本稿では文法化の観点からこの現象の原理的説明を試みる。具体的には,knowなどの動詞は初期近代英語で1 人称主語における主観的用法が引き金となって軽動詞としての用法を発達させ,これらがNegPよりも上位で基底生成された結果,見かけ上の残留動詞移動現象が生じたと主張する。いわゆる動詞移動は単一の統語操作ではなく,統語的・音韻的・語彙的要因が絡み合った複合的な現象として捉えられる。この分析の帰結として,統語的移動に関するかぎり動詞の一致形態素が動詞移動の必要十分条件であるとする「豊かな一致の強い仮説」が支持されることになる。
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https://doi.org/10.24568/40769
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