近年, 子供の体力低下は大きな教育課題の一つとなっており, 体力と学力の相関も指摘されている。また, 学力・体力づくりを学校全体で組織的に実施していく重要性も論じられている。本稿では, 平成22年度から学習を支える基盤として「体づくり」の実践を9年間にわたり組織的に継続してきたA小学校の取り組みの実際を記述し, その成果としての児童の体力と学力の変化について明らかにした。まず, A小学校の「学習に向かうことができる体づくり」のための多様な試みを記述した。次に, A小学校の9年間にわたる児童の学力・体力の変化を明らかにした。学校全体で集中的に取り組みを行っていた時期は体力・学力ともに向上したが, 学校事情で「体づくり」への取り組みがやや低調になった時期は学力・体力ともに低下した。こうしたことから, 組織的・継続的に「体づくり」に取り組むことの重要性が明らかになった。