本研究は、日本の小学校家庭科とは教科特性を異にする、韓国初等実科教育課程の変遷やその特性、ならびに活動中心の学習戦略として注目されている活動中心の栄養教育の特徴を明らかにすることを目的とした。第一次から第七次までの実科教育課程の変遷からみると、第七次教育課程において、実科教育の教科特性として、児童の実践的な経験と実生活上の有用性を重視する教科であることが確立したといえる。それは、教科の哲学的基礎を労作教育において手工活動を必須とし、活動の過程で創造的変容を大事にするという性格を持つものであった。
栄養教育に関する活動中心の学習戦略は、実科教育を学習する児童の発達を踏まえて開発されたものである。すなわち、認知発達の面からみて活動的で好奇心が強く、また本質的に探究心が強いという発達の特性を生かすとともに、児童の活動欲求と身体的な発達を考慮し、「遊び」、「ゲーム」、「童話作り」、「歌う」、「歌の歌詞作り」などの学習活動と、実際に調理を行うなどの体験活動中心の学習を行うことが大きな特徴である。日本の家庭科においても大いに参考になるものであり、授業実践によって検証が求められるところである。