島根大学教育学部
島根大学教育学部紀要

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島根大学教育学部紀要 Volume 53
published_at 2020-02-17

デフォルト志向性解除と歴史的現在

Default Preference Override and the Historic Present
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デフォルト志向性解除と歴史的現在 ( 1010 KB )
Descriptions
Hirose (2013, 2015), 廣瀬 (2016, 2017) が提唱する言語使用の三層モデルに基づき, Konno (2015), 今野 (2017) は個別言語が無標の場合に示す意味・語用論的傾向をデフォルト志向性と呼んでいる。そして, 有標形式においてデフォルト志向性が解除されるデフォルト志向性の解除(以下,「デフォルト志向性解除」とする)という考え方を提唱している。本稿では, デフォルト志向性解除について考察し, 英語における歴史的現在はデフォルト志向性解除の一例であるが, 英語特有の報告者の視点を免れることができず, 歴史的現在と過去時を表す副詞表現との間に不調和が生じること, さらに提示モードである自由間接話法も英語においては有標形式であり, 歴史的現在と同様に報告者の視点を反映した過去時制が用いられることを述べる。
Doi
https://doi.org/10.24568/48853