平成29年に告示された『中学校学習指導要領(平成29年告示) 解説理科編』には, 「探究の過程」が示されるとともに,小・中・高等学校でも同様の学習過程が重要であることが強調された。しかし, 小学校理科では「問題解決」という言葉が用いられ, 中学校理科では「探究」という言葉が用いられている。
そこで本稿では, ①現在小学校では「問題解決」, 中学校では「探究」として用いられている言葉が, 昭和44年改訂以降の小・中学校学習指導要領にどのように記載されていたか。②平成20年改訂以降の小・中学校学習指導要領のもとで編纂された教科書に「問題解決」と「探究」に関する学習の流れがどのように記載されていたか。検討を加えた。その結果, 次のことが明らかになった。①中学校理科では, 「探究」の趣旨は昭和44年以降脈々と受けつがれている。②平成20年改訂以降の学習指導要領(理科) では「探究」と「問題解決」は同等の意味内容を表す。③平成20年改訂の学習指導要領の下で編纂された教科書では, 改訂直後から既に「探究の過程」及び「問題解決」の過程を意識した構成になっている。