教育現場だけではなく様々な場で, コミュニケーションという言葉が頻繁に使われている。新学習指導要領でも, 中・高等学校の外国語教育や, 平成23年度より5・6年生に於いて必修化される「外国語活動」ではコミュニケーション能力が重視されている。しかしながら多用されているコミュニケーションという言葉に確立された定義はなく, 個々の状況にあわせ意味する所も様々である。さらに日本では, コミュニケーションに合致する日本語訳がなく片仮名のまま使われることが多い。
拙稿では, 「コミュニケーション」の意味を改めて見直し, 本紀要の母体である島根大学言語教育研究会の成員によるコミュニケーションに関する見解も参考にしながら, 新しく導入される小学校外国語活動に求められているコミュニケーション能力とは何かを考えてみたい。