本稿は「世代間コミュニケーションと教育」プロジェクト活動の一環として、 00 年 月発表した「現代美術とコミュニケーション」を基に、
①近代と現代という時代間の相克や理念の変遷にスポットを当てる。
②現代美術の特質をコミュニケーションという観点から捉える。
という2点をキーポイントにして論じた。
近代美術の自律的、還元的な抽象美術の行き詰まりに対して、現代美術ではコンセプチュアル・アートによる「概念作用」を根本理念とした美術が生まれた。現代美術は「コンセプチュアル」な理念を持つことにより、自然や社会という他に対して開かれた関係を獲得し、近代の自我に閉ざされた美術理念を超克した。
また現代美術は絵画、彫刻等の伝統的な形式から離れ、インスタレーション等の新しい形式の美術を生んだ。それらは一個の自立した作品ではなく、「媒体」として制作者と鑑賞者との意識の交感を図るものであり、それは両者間のコミュニケーション装置として成立するものである。