本研究では、家庭における世代間コミュニケーションという視点から、団らんとコミュニケーションの捉え方の違いを明らかにした上で、団らんの視点から望まれる団らん空間のあり方を検討を行った。その結果、下記の結果が得られた。
(1)平日の団らん合計時間の平均は .0時間であった。
(2)団らん時の生活行為は、テレビなどを見る、話をする、たどの他に、私的行為から家事行為までかなり多岐にわたった行為があげられた。このことから、団らんにはそれぞれがそれぞれの「したいこと事」をしながら“ながら参加” をしている状況が伺えた。
(3)団らん観・コミュニケーション観を見ると、団らんの捉え方は以前に比べて広がってきており、ミュニケーションに近くなっていると推測された。団らんとコミュニケーションの違いは、団らんでは、家族の多くがそろうこと、行為の共有、場の共有であり、コミュニケーションでは、意思伝達があること、行為の共有が必要であると考えられた。
(4)団らん満足度やプライバシーの満足度は高く、団らんとプライバシーの満足度の間には相関関係が認められた。
(5)団らんではよい雰囲気で家族が仲良く楽しむことによって相互理解を得ており、コミュニケーションでは会話などによる意思伝達により家族間の相互理解を得、その結果家族の絆を深めるという役割をしていると考えられた。
(6)団らん空間に対して、食事空間、キッチン、個室とのつながりが求められており、特に子どもの年齢が低い程その傾向が強かった。
以上のことから、家族の交流を望んでいる人の割合は高く、家事行為や私的行為をしながら団らんに参加している状況が伺えた。家族の交流を重視した間取りが望ましいと考える人の割合は高いことから、今後は住宅全体がより開放的な計画になり、団らん空間の機能の多様性が広がっていくのではないかと考えられる。そのため、個室と団らん空間をいかに関連づけ、家族の気配がわかる間取りを検討していくかが課題となるとであろう。