本稿では、まず第一にPISA2015年調査において洗練され拡張された定義、特に科学的リテラシー及び科学的能力と科学的知識について、2006年調査のそれらと比較検討を加えた。次いで、筆者らの前報において明らかにされた、教育課程改善の3つの枠組みと「探究の過程」と理科における資質・能力とPISAにおける「科学的知識」, 「科学的能力」との関連に関する包含関係を表した表について、PISA2015年調査において記述された科学的能力と科学的知識で書きかえた表を得ることができた。それに基づいて、探究の過程のどの段階では、どの学年段階でどのような子どもの学習活動を引き出せばよいのかについての知見を得ることができた。これらをもとに、島根大学教育学部附属学校園が義務教育学校に移行した後でも、附属中学校でこれまで行われていた探究の過程を経る理科授業を前期課程・後期課程においても行えばよいことが導出された。