第4期中期目標・中期計画の策定, 「令和の日本型学校教育」の議論, 教員育成指標の改訂という大学内外の要請から「教師力10の軸」(島根大学教育学部ディプロマ・ポリシー(DP)) の改訂に着手することになった。本研究は, 将来構想委員会カリキュラム検討ワーキンググループを中心に, いかに教員養成における資質能力の具体化を図るかについて約1年間かけて議論してきた成果を報告するものである。オーストラリアや米国におけるスタンダードを参照軸としつつ, 島根大学教育学部DPの基盤となる理念は, 市民性の育成や多様性の尊重が求められる学校現場でより専門性を発揮できる教師として必要な資質能力を具体化するものであることを前提として確認した。また, これまで「教育実践力」「対人関係力」「自己深化力」という3つの領域を設定してきたが, 最終的に「学校・社会創造」と「教育実践」という2つの柱で整理した。そのいずれにも“for All”という方向性を示すことで, 教師が教育実践を通じて「公正な社会」を目指すという大きな理念を明示する形で, 9つの資質能力を新たに提案することができた。