本研究は、イメージマップ(以下、IMと略)を活用した「指導と評価の一体化」を図る小学校理科授業の実際を報告するとともに、その枠組みでの授業づくりの在り方に検討を加えることを目的として行った。
授業は、教師の授業づくりを含んで次のように展開された。①授業前に約2時間かけて、各次の学習内容が網羅されたIMを教師が予め作成した。②各次の学習の後、子どもはIMを作成するとともに、教師が予め作成したIMとの比較を行った。③簡潔な授業評価方法を用いて、教師は子どもが書いたIMを約1時間かけて集計し、学習途中における形成的評価を15~20分間で行なった。④形成的評価によって明らかになった課題を、次時の授業の冒頭で10~15分間かけて指導した。⑤単元の授業は、標準時数に加えゆとりの時数の範囲内で行われた。行われた授業に検討を加えると、各次の学習の後現れた諸課題は単元末テストにおいては概ね減少していることが明らかになった。
今後、IMの活用した「指導と評価の一体化」を図る小学校理科の授業づくりのためには、授業前の準備(教師が予め作成するIMの準備)に加え、IMの集計のために要する時間短縮を行い、授業づくりに対する教師の負担感を軽減する必要があるという結論が得られた。前者の克服のためには、教師のIMの取り扱い習熟のための取り組みが必要と考えられる。後者については、教師のIMの取り扱いが習熟すれば、子どもが書いたIMを直接読み取れる可能性が考えられる。