現代の子どもを取り巻く現実を踏まえた教育上の課題として子どもの道徳性の発達と道徳教育を巡る問題がある。本稿では幼小期における遊びを通した道徳教育の方法を考える前段階として, まず, 現代の子ども社会の現実と道徳発達および道徳教育の考え方について整理した。価値相対化あるいは価値多元化という特質をもつ現代社会において, 子どもの遊びと道徳性の発達との相互関係を説明する際の根拠となる考え方としてコールバーグの道徳性発達理論が有効であることを示した。さらに, 一般的な子どもの道徳性の発達と教育方法上の考え方について遊び指導との関連に留意しながら概観した。