アメリカの初等科学の教科書の一つである『Science Grade 6』に示されている4種類の学習内容の構造に基づいて日本の中学校理科の教科書における学習内容の構造を分析したところ,中学校理科の授業で学習者に獲得させるべき「重点となる科学的知識」が明確になった。「重点となる科学的知識」のつながりを重視した授業を開発し,授業実践を行った。授業実践について「科学的知識のつながり」と「科学的知識」の2つの観点から評価を行った。学習後には,学習者の「科学的知識のつながり」が,概ね授業者の意図した学習内容の構造に基づいて構築されていた。ペーパーテストの得点の分析から,学習者は基礎・基本的な「科学的知識」と,活用や計算を含めた「科学的知識」が獲得できていると判断できた。また,学習者が作成した「学習マップ」の評定とペーパーテストの得点率には正の相関があった。