岡山県勝山地区は,隣接する津山地区とならんで,柱角を中心とした製材品群,いわゆる「美作材」を産出する製材産地である.
このような製材産地は,原木の良質性に依存する「原木銘柄」としてのそれ−例えぱ,奈良県吉野・桜井産地−と,製品の良質性を重視する「製品銘柄」−例えぱ,岐阜県東濃産地−とにわけることができる.前者は,比較的歴史が古く,資源立地型の産地でもあり後者は1960年代後半から展開した,後背地の森林資源に必ずしも依存しない,技術立地−原木集積ともいうべき新しい形の製材産地である.そして,勝山地区は後者の典型的事例の一つである.
従って,「製品銘柄型」製材産地の存続の要として,技術的背景もさることながら,地域における原木集積機能が重要な役割を担っている.この場合,製品の良質性−高価格性に規定されて,一般に原木価格相場の水準が高く,それが広範に良質原木を集積しうる要因になっている.勝山地域では,この原木市場が3カ所あり,原木の集積と選別分配機能を担っている.
本稿では,これら原木市場の製材産地に果たす役割を,3市場について特徴を析出し,とくに,地元の森林資源との関わりが強い,県森林組合連合会の木材共販所の意味について考察する.