アクセス数 : 0 件
ダウンロード数 : 0 件
この文献の参照には次のURLをご利用ください : https://doi.org/10.24568/55548
山陰研究 17 巻
2025-03-10 発行
島根県出雲市平田方言におけるとりたて否定形
Another Negative in Izumo-Hirata Dialect
本文ファイル
山陰研究_17_p091-107.pdf
( 1.63 MB )
内容記述
本稿では、島根県出雲市平田方言における「とりたて否定形」について記述する。「とりたて否定形」とは、「~しはしない」に由来するとされる動詞否定形式であり、平田方言ではkak-jaseN のような形をとる。本稿では、このとりたて否定形の形式と意味について、以下のことを明らかにした。
(a) 平田方言のとりたて否定形の形態には複数の種類がある。これらは、「~しはせん」に相当する迂言的な形式V=wa se-N からの変化の過程に位置づけて整理することができる。すなわち、(ア)縮約と仮定形への平準化を経た形式(mir(- j)aseN)、(イ)/ra/ の隠在を経た形式(miRseN)、(ウ)-seN として再分析された形式(mi-seN)の3 種類である。( 4 節)
(b) 平叙文におけるとりたて否定形の意味は、先行研究で指摘されているような「相手の肯定的な見込みに対する否認」に制限されることはなく、単純否定形とほぼ同じ意味で使用することができる。( 5 節)
(c) 疑問文で用いられるとりたて否定形は、話し手の推定を表す「のではないか」とおおむね同じ用法を持つが、非過去かつ肯定の場合に限られる。( 6 節)
(a) 平田方言のとりたて否定形の形態には複数の種類がある。これらは、「~しはせん」に相当する迂言的な形式V=wa se-N からの変化の過程に位置づけて整理することができる。すなわち、(ア)縮約と仮定形への平準化を経た形式(mir(- j)aseN)、(イ)/ra/ の隠在を経た形式(miRseN)、(ウ)-seN として再分析された形式(mi-seN)の3 種類である。( 4 節)
(b) 平叙文におけるとりたて否定形の意味は、先行研究で指摘されているような「相手の肯定的な見込みに対する否認」に制限されることはなく、単純否定形とほぼ同じ意味で使用することができる。( 5 節)
(c) 疑問文で用いられるとりたて否定形は、話し手の推定を表す「のではないか」とおおむね同じ用法を持つが、非過去かつ肯定の場合に限られる。( 6 節)
内容記述
Spoken in the Izumo area of Shimane prefecture, Hirata dialect has two negative forms of verb, simple (e.g., kak-aN) and another (e.g., kak-jaseN) negative. This study examines the latter, which originates from the periphrastic expression “V=wa se-N.” Another negative has some variants (e.g., mir-aseN, miRseN, and mi-seN) through some processes, the analogical leveling with conditionals, r-deletion, and reanalysis. In declarative sentences, another negative has roughly the same meaning as a simple negative, while in some other dialects (e.g., Uwajima, Okayama, and Aich), it is used only when it represents denial of the presupposition. In interrogative sentences, another negative is used as epistemic modality, which corresponds to nodewanaika in Standard Japanese, although only when it is unmarked in tense and polarity.
About This Article
Doi
https://doi.org/10.24568/55548
Pages
Other Article