ハーツホーン、ジョーンズ以来、政治地理学の機能論的諸研究はしだいに進み、とくに政治集団のもつ、組織ないし機構における、あるいは他の集団との諸関係における機能の分株は、重要な研究題目の一つとなつた。しかし、イースト、ムーディーの提起した「国内政治地理」の問題については、さほど著しい進展を見せていない。ラヌーの論をまつまでもなく、国家を一単位としてのみ考察することは、国家の、さらに国際杜会の政治地理学的研究の真の態度ではない。とくに、ラッツェル、マウルを中心とするドイツ学派の手になった国土観は、今一度、国家活動のにない手としての、国民あるいは民族あるいは大衆などの社会諸集団の機能との関連において書き改められるべきである。