島根大学教育学部紀要

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島根大学教育学部紀要 55
2022-02-17 発行

歴史教師のビリーフに関する研究方法論の考察 : ビリーフ調査の質問項目の開発を通して

A Study of Research Methodologies for History Teachers' Beliefs Through the Development of Question Items for Belief Survey
宇都宮 明子 島根大学教育学部社会科教育専攻
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内容記述(抄録等)
本稿の目的は、歴史教師のビリーフを捉える枠組みを設定し、それに基づいたビリーフ調査のための質問項目を開発することで、ビリーフ研究の方法論を検討することである。第II章では、歴史教師のビリーフを、スイスドイツ語圏の歴史教師のビリーフの構造規定を援用した歴史理論的ビリーフと歴史教授学的ビリーフとし、日本の教科教育学研究で示された教科教育実践研究を捉えるフレームワークを援用して、両ビリーフを授業理論、授業モデル、授業実践の領域で調査するという歴史教師のビリーフを捉える枠組みを導出した。第III章では、第II章で示した授業理論、授業モデル、授業実践という領域ごとに歴史理論的ビリーフと歴史教授学的ビリーフを調査するための観点と下位観点を考察し、下位観点ごとにビリーフ調査の質問項目を開発した。第IV章では、第III章までの検討を踏まえ、歴史教師のビリーフ調査では、歴史理論的ビリーフと歴史教授学的ビリーフからなる歴史教師のビリーフの傾向性、歴史理論的ビリーフ内、歴史教授学的ビリーフ内、両ビリーフ間、歴史教師の教育的営みの領域内、領域間の相関関係、選択式項目と記述式項目の対応関係を分析することで、歴史教師のビリーフの属性を解明するという研究方法論を提案した。本研究での考察から、教師教育改革を進める上で、教師のプロフェッショナルコンピテンシーの確定は不可避であり、歴史教師のビリーフを教師のプロフェッショナルコンピテンシーに位置づけ、その観点からビリーフ調査を実施することは、教師教育改革の道を拓くことにつながるという本稿の結論を導いた。
DOI(SelfDOI)