島根農科大学研究報告

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島根農科大学研究報告 15
1967-01-31 発行

独占段階の協同組合についての試論

A Preliminary Essay on Co-operation in Monopolistic Capitalism
武内 哲夫
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内容記述(抄録等)
戦後協同組合についての論議は,産業組合運動の活發であった戦前に比べて,はるかに科学的な論議としておこなわれてきた.とくにわが国の場合,協同組合の主要な形態は世界的にみても組織化の高さを誇る農業協同組合であり,それが戦後経済の急激な変貌過程で,組織・運営・経営の各局面において急速な解決を果さなくてはならない問題をかかえている、そして農村における主要な諸問題は,殆んど協同組合と何らかのかかわりを持って展開されてきたことから,協同組合は体制的な一独占と小農との関係が取り結ぷ矛盾展開の場として,極めて重要な意味を持っているといえよう.
 本稿では問題を,(1)協同組合論を展開する場合,それはいかなる社会経済的局面においてなされねばならないか.すなわち原型をどのように設定すべきかについて,協同組合成立の契機と型を通じて考察する,(2)さらに協同組合の商業資本的自立化の問題を,そして(3)協同組合存立のための矛盾の調整はいかにしてなされるか,という文脈に従って考察することにする.