いわゆる”Psteur Effect”がPasteurによつて発見されて以来,極めて多くの研究者達が,この現象の解明に努カしてきた。そして近年になつてMelnick(1941),Engelhadt&Sakov(1943),Lynen(1941.1942),Holzer&Holzer(1953),Stickland(1956)等の研究によつてようやくその機構が説明されるに至つてきた(Cook 1958)。この問題がながい間進展しないで足踏の状態で留つていた理由の一つとして考えられる事は,実験材料の点である。一般に酵母のPasteur Effectと言つても,極めて好気的な酵母もあり,また嫌気的のものもある。好気的酵母に対する振盪効果は嫌気的酵母に対する振盪効果とは大きな差を持つ。その結果としてPasteur Effectも必然的に違つたものとなつてくる。こゝにおいて筆者は,RQの異る酵母を材料として,嫌気的並びに好気的条件で培養し.その結果それぞれの酵母のQ_<O_2>及びQ_<CO_2>に如何なる変化が起るか。また糖消費と振盪作用との間で,どのような関係が各種の酵母でみられるか。また三種の酵母の成育に対して振盪作用は如何なる効果を持つているか,ということについて調べた。