本研究は, 児童が「空間認知力」を身につけ, 空いたスペースをめぐる攻防ができることを目指し, それに向けてBunkerら(1982) の唱えたTGfU論を用いて攻守一体型の教材開発することを目的としている. 現在, 用具操作を伴う攻守一体型の実践研究や学術研究は, その難しさなどから十分に行われていない現状がある. そこで, 本研究では,今井(2013) の考案した, 子どものつまずきを押さえた上で戦術学習が実現できるように工夫されている「テニピン」を教材開発の軸として用いる. 対象は小学校第4学年とし, 全8時間単元で授業を構成し, 実施した. 対象授業で収集したデータは, 毎時間実施したドリル回数の記録や形成的評価, 単元前後の質問紙調査, 実技の状況のビデオ等である. これらのデータ分析の結果, 子どもたちは守備の知識, 技能はある程度身につけたものの, 攻撃の技能が不十分であることが明らかとなった. 攻撃に関する知識と技能は, やや正の相関が出たことから, 新たなドリルゲームで, (1) ラケットを横に振ることができること, (2) ボールとの距離感を掴めることを目指し, 技能だけでなく知識面も再度身につくような指導を行っていく必要があることが分かった.