中学生の達成目標を規定する要因を明らかにするため,文化的自己観(相互独立性と相互協調性)を取り上げて検討したところ,相互独立性は熟達目標を促進するのに対して,相互協調性は他者の承認を求める遂行目標を促進していた。文化的自己観を達成目標の規定要因として新たに確認した。また達成目標がストレス過程に及ぼす影響について調べた結果,熟達目標はストレスの認知的評価やポジティブコーピングを促進することが明らかになった。文化的自己観もストレス過程には強い影響を与えており,相互協調性はネガティブコーピングやストレス反応,疎外感を強めていた。相互独立性は統制可能性を強め,ストレス反応や疎外感を抑制していた。