島根大学教育学部紀要

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島根大学教育学部紀要 44
2010-12-24 発行

討議理念の実現に向けた教育構想に関する一考察 : M・ニケの「道徳の現実的討議理論」を手がかりに

Eine Betrachtung uber die Bildungskonzept zur Diskurs : Anhand von der "realistischen Diskurstheorie der Moral" von M. Niquet
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内容記述(抄録等)
 討議倫理学における討議が成立する条件として、参加者の平等、相互尊重が挙げられる。しかし、現実世界のなかにこれらを期待することは難しい。本研究では、機会や権力が不平等に配分された現実世界において、多少なりともそうした状況を克服していく教育的行為とは、教育的営みとは、どのように決定されるべきか、デザインされるべきかということについて考える。そのさい、同様の問題意識において展開されているM・ニケの「道徳の現実的討議理論」を手がかりにする。考察の手順は次の通りである。まず、討議の実現に関する教育学的研究の先行研究として、ドイツの批判的教育学を検討し、その問題点を指摘する(Ⅰ)。次に、それを克服する手がかりとして、M・ニケの「道徳の現実的討議理論」を検討する(Ⅱ)。そのさいまずはK・O・アーペルやJ・ハーバーマスがこの問題へどのように取り組んでいるかを概観し、その問題点を述べる。そして、この問題点をニケがどのように克服し、現実的な方向性を示しているのかを確認する。最後に、ニケの理論を手がかりとしたとき、討議を実現する教育の営みはどのように構想されるかについて考察する(Ⅲ)。
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