手加工の木工作業における座式は,従来から学校教育以外の木工作業現場において,広く採用されていた。今でも,伝統的な産業における木工分野では,有効に幅広く取り入れられて実施されている作業形態である。しかし,近代化された木材加工産業界や,現代の学校教育,職業教育の木工現場,さらに,日曜大工などの家庭における木工の場面でも,この座式はすっかり影を潜めてしまい,立式が主流となっている。
しかし,学校教育における木工を行なう実習室(技術室)においては,生徒達に対しての面積が狭い。実習室における生徒の落ち着きがない。工作台1台当りの生徒数が多すぎる。などの学校教育特有の問題が数多く存在している。そこで,これらの問題点の解決の一助になればと考え,この旧式とも言える座式木工作業形態を,実際に中学校,技術・家庭科の木材加工領域での実習授業に導入し,その効果と問題点について検討を試みたので報告する。