Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University. Educational science

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Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University. Educational science 10
1976-12-25 発行

教育評価の今日的課題

Today's Ploblems of Evaluation
Yamashita, Masatoshi
Imatani, Nobushige
Ishida, Hidetaka
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 五月に発表された日教組の学力実態調査の結果は,新ためて確認されるべき一層ショッキングなデータを国民の前に明らかにした。
 まず国語の場合,10年前や25年前の調査と比較して,小学校で習う漢字の読み書きの力が低下していること,学年が進むにつれて,学力が向上するどころか,停滞ぎみになっている。教えた内容が子どもの身についていないこと,40人のクラスで10人前後の割合で,毎日学校で使用する教科書を読むことも困難を感じるであろう子どもが存在すること,小学校4年で習ったはずの「底」という字についてみれば,小学校6年で53%の正答率を得ているのに,中学3年までずっと停滞して,52%に落ちていること,25年前の同じ調査では,正答率が小学6年で41%で,中学3年では84%と向上していたことなどがわかったのである。
 次に算数の場合,小学3年の段階から較差が現れ,しかもそれが学年進行とともに拡大していくこと、たとえば前の学年(4年)のつまずきがその次の学年(5年)のつまずきに引き継がれ,そして次の学年(6年)に引き継がれたところでまた新たなつまずきが発生して,中学一年の較差が広がるということ,中学一年で小数の割り算の部分に関して8割ぐらいの子どもが零点を取ってしまうこと,分数計算に関して,足し算,引き算,掛け算,割り算が全くできない子どもが中学一年で2割程度存在することが判明した。
 最近では,このような学力の面の停滞,低下ばかりでなく,それと密接に関連しながら,大量の子どもの非行化現象,中学生などの自殺の増加も大きくクローズ・アップされてきている。過酷な受験体制と環境の悪化のなかで日本の大多数の子どもは,学力と人格の両面において,ある日突然死んだり,家出したり,不良化したりなど正に生死をかけるほどに,もはやどうにもならない状況に立たされているといってもよいのではなかろうか。
 そのような現状認識にもとづいて,ここでは,教育評価の問題を,日本,アメリカ,DDR(ドイツ民主共和国)の現状・動向・歴史といった角度から,比較教育的にアプローチしてみた。
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