島根大学論集. 自然科学

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島根大学論集. 自然科学 4
1954-03-31 発行

コバノチョウチンゴケの�歯の発生について

Development of the Peristome in Mnium Microphyllum Doz. et Molk
齊藤 眞太郎
西田 雄行
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内容記述(抄録等)
CAVERSによつて真正蘚類は Tetraphiadales,Polytrichales,Buxbaumiales,Eubryales の4類に分けられてあるがこのような分類には�歯の構造,発育状態等は蘚類相互間の系統関係を示すものとして重要視されている。 Tetraphiadales,Polytrichales のさく歯は完全な細胞から成り,Buxbaumiales,Eubryales のさく歯は細胞の膜の肥厚によってできてくる。PHILIBERT の例に従えば Encalyptaceae を除いて Eubryales は Diploepideae,Haplolepideae に分けられる。Diploepideaeではさく蓋部の同心円層から発生してくる。これらの発育に関してはGOEBELは1887年に,CAMPBELLは1905年にFunaria hygrometricaでSTRASBUPGERは1905年にMnium hornum について研究している。それらによるとさく歯は内外2層からなり,外さく歯層(Outer peristomial layer)は16箇の細胞から,内さく歯層(Inner peristomial layer)は32箇の細胞から発達してくることを述べている。
 ALEXANDER,HOOKER両氏は1913年に Ceratodon purpureus D.M.についてさく歯の発生状況を精密に研究している。これも Mnium hornum と同様にさく歯層は内外2層になつているが,外さく歯層は16箇,内さく歯層は24箇の細胞からできている点が違う。すなわち外側のさく歯細胞2箇に対して内測のさく歯細胞3箇が密接に対応している。内外さく歯の肥厚は各2箇の Periclinal walls に行われ,最初内さく歯層に肥厚が始まり,間もなく外側のさく歯が肥厚することを明らかにした。そしてさく歯の発生に関する研究の必要性を説かれたので,この問題に志して野口彰博士の懇篤なる指導をかたじけのうしつつ目下研究に従事しているが,今日までにあげ得た成果の一部としてMnium microphyllum Doz. et Molkについて発表する。