島根大学論集. 自然科学

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島根大学論集. 自然科学 4
1954-03-31 発行

Rangeに関する統計量に依る一様性検定について

Tests for Homogeneity by Ranges
田村 亮二
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内容記述(抄録等)
 分散分析或は一様性検定は普通F−統計量を利用して行はれるが,最近種々の理由からRangeを用ひての検定方法が研究されている。二つの母集団についての場合は夫々のSamplerange の比によつて一様性検定が可能であることは既に証明されてゐる更に実用化もされてゐる。最近橋爪浅治氏は〔1〕で分散分析に於いて誤差項の一様分布を仮定して(之は正規分布の代用になりうる)z = min(range) / max(range) によりF−検定に代えることを論じている。代し之は唯二つのrange だけにしか関係がない。そこで本稿ではすべてのrange に関係した統計量 z = ∑(range) / max(range) を採用することを提唱する。
 先ず一様性分布を仮定して z = ∑(range) / max(range) の確率密度亟数を求めること。次に指数分布を仮定して z = min(range) / max(range) による検定及びある対立仮説に対しての powerfunetion を求めることについての解析を行ふ。〔1〕で power funetion は求めてない。統計量 z が利用出来る数学的模型は次の二つ。(a)(0,a_i)で一様分布している m 個の母集団 π_i からの大きさ n_i の randam sample を 夫々 O^(i)_ni(z_ia a = 1,2, ……, n_i) i=1,2, ……,m, とし之により帰無仮説 H_0 : a_i = a i = 1,2,,……,m を検定すという問題。
 (b)確率変数 x_ij は一般に.
     x_ij = m + U_i + V_j + ε_ij で表されるとする
  m, U_i, は V_j 未知常数且 ∑U_i = ∑ V_j = 0(之は一般性を失うことなし)こゝで ε_ij は(0,a)で一様分布する確率変数。然るとき H_0 : U_i =0 又は H_1 : V_j = 0 といふ仮説を検定するといふ普通の実験計画の問題。
 以上(a)(b)に対しては全く同様に取扱ふことが出来るので一括して §2 ではZ = ∑ (range) / max(range) を利用しての問題を §3.では橋爪氏の統計量を用ひた時の解析をする。