島根大学文理学部紀要. 文学科編

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島根大学文理学部紀要. 文学科編 11
1977-12-27 発行

冠詞の生成

On the Generation of Articles
石川 清文
ファイル
a008011h006.pdf 1.03 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
変形文法における冠詞の生成法としては,最初期のChomsky(1957)などの方法を除けば,現在までのところ主要なものとしては,次の三つのタイプのものが提案されている。
(1) Chomsky(1965)
 (a)NP→(Det)N(S)
 (b)Det→(Pre-Article of)Article(Post-Article)
 (c)Article→〔±Definite〕
 のような書き換え規則による。
(2) Postal(1969)
  深層構造においては冠詞はSegmentとしては存在せず,表層に近いところでNounのもつ統語素性をコピーするSegmentalizati  on Ruleによって表層の冠詞が生成される。
(3) Partee(1973)
 (a) NP→D NOM
 (b) D→ART(POST(PART))
  のような書き換え規則により,深層にもArticle Nodeは存在するが,それは統語素性の束のみを支配する。種々の変形によ  り素性の指定が変更を受け,最終的にはsecond lexical lookupにより表層の冠詞が決定される。
本稿では,これらの方法にはいずれも幾つかの難点があり,このままの形では受け入れられないことを示し,暫定的な代案を提示する。