本研究は、非現実的特性、および、現実的特性の獲得について、幼児が、願望のあるなしに依存して判断しているのかどうかを検討した。幼児期、および、小学生期を通して、ある特性を持っていない主人公が、大人になって特性を獲得すると思うかという質問に対する、年少児40 名(平均4 歳5 か月)と年長児40 名(平均6 歳5 か月)の反応を分析した。その結果、現実的特性については、年少児も年長児も、願望のある場合の方が願望のない場合よりも、大人になって特性を獲得できると考える一方、非現実的特性については、年少児は、現実的特性と同様に、願望がある場合の方がない場合よりも、大人になって特性を獲得できると考えるが、年長児は、願望のあるなしに関わらず、大人になってもその特性を獲得できないと考える傾向があった。以上の結果から、年少児においても願望に依存して特性の獲得を考えていること、年長児になると、それに加えて非現実的特性の獲得可能性を考慮に加えて判断をするようになるのではないかということが考察された。