マンション供給は,特定の時期の社会経済的状況を反映しやすく, 立地傾向や資産的価値などの面でも戸建住宅の供給とは大きく異なる.本稿では,全国におけるマンション供給の状況を時系列的に把握するとともに,地方都市におけるマンション供給の特徴を,主にデベロッパーによる開発戦略の相違から分析した.この結果,日本におけるマンション供給は,首都圏資本の大手デベロッパーが首都圏を中心に展開してきたものの,2000 年以降は地方資本による地方都市でのマンション供給も存在感が高まってきていることが明らかになった.特に,地方都市では地元の不動産マーケットに精通した地方資本のデベロッパーが,大手資本と連携しながら,主要なマンション供給者としての役割を担っている.