地代理論の研究は私がもっとも以前から志してきた課題のひとつであった。
その結果は,すでに十年以上も過ぎてしまったが,一冊の研究所として世に問うたところである。しかし未だに終わったということができず,その時はそれでよかったとしても後になるとどうしてもさらにつけ加えておきたい箇所が出てきて,それ以降も少数だが地代に関する論稿を公にしてきた。そして今なお言っておきたい論点がいくつか残っているように思う。
そこでもう一度,総括的にではあるが地代論全体にわたってそうした点を中心に考えるところを述べてみたい。