島根大学教育学部紀要

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島根大学教育学部紀要 54
2021-02-17 発行

『蒼頡篇』の押韻と章序

Rhyming and Chapter Order of the Cang Jie Pian
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内容記述(抄録等)
『蒼頡篇』は秦の始皇帝期に作成された識字書であり、漢代においても広く行われ、後代の小学書の成立に多大な影響を与えた。『蒼頡篇』はその後亡佚し、長らく実態が不明であったが、20世紀初頭に敦煌の辺境地域で発見された漢代の簡牘資料から『蒼頡篇』残簡が検出され、研究の端緒が開かれた。その後、阜陽漢簡『蒼頡篇』、水泉子漢簡『蒼頡篇』、北京大学蔵漢簡『蒼頡篇』などの出土によって研究が大きく進展し、さらに2019年に公表された漢牘『蒼頡篇』は、『蒼頡篇』の全容解明につながる重要な資料として注目される。本稿では、漢牘『蒼頡篇』と北京大学蔵漢簡『蒼頡篇』との比較を中心に検討を加え、『蒼頡篇』の押韻に関する仮説を提起するとともに、仮説にもとづく分析を通して『蒼頡篇』の章序を推定し、仮説の妥当性を検証した。