島根大学教育学部紀要

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島根大学教育学部紀要 50
2016-12-28 発行

大学1年生の朝食の実態と課題 : 大学生協食堂利用者について

The Reality and Problems of the Breakfast of the Freshman : Who Uses a University Co-op Cafeteria
多々納 道子
藤原 沙季
植田 遥菜
ファイル
内容記述(抄録等)
大学入学直後の1年生を対象にして、大学の生協食堂でどのような朝食メニューを取っているのかを、撮影した写真を分析することによって明らかにした。併せて食生活に関する実態調査を行い、食生活管理能力を育成するための課題を明らかにし、高校までの家庭科において食生活管理能力を育成するための基礎資料とすることを目的とした。
今回の調査において、朝食を取っていない者はわずか数パーセントであった。そして、その朝食メニューの組み合わせは「主食+主菜+副菜+汁物・デザート」や「主食+主菜+副菜+汁物」というような、栄養や食品のバランスがとれているものは、約半数のものであった。残りの半数の者のメニューは、組み合わせのいずれかが欠けていたり、中には、「主食・汁物」のみというものもあったりで、量と栄養ともに不足していた。これらのニューを選んだ理由をみると、「好み」や「気分」が優先され、「栄養バランス」や「カロリー」などを考慮し、メニューを選択する者は少ないという結果であった。自分の取った朝食メニューの栄養バランスの自己評価と調査者評価との関連は低く、また評価そのものが出来ない者が約10%あった。これらのことから食生活の自己管理能力が備わっているとは言い難い状況にあることが理解できた。
食生活に関する知識・調理技術の情報源は、男女とも約80%の者が「学校の家庭科」、約66%が「家庭」としており、学習したことを生活に活かすということから両者の連携が一層求められる。食生活に関する知識や調理技術の習得についての関心・意欲は高かった。
今後の課題として、家庭科の学習において、実際の生活に結び付けて考えることのできる指導の工夫や、高等学校以降の生活を考慮した学習展開を工夫し、実践力が身に付くような指導を工夫し、食生活管理能力の育成を行う必要があると言える。
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