構成課題を行う際、既得の方略に固執して対応しようとする知的障害を伴う重度の自閉スペクトラム症の男子に対し、モデルのある構成課題(積木構成課題:トラック模倣・家模倣)とモデルのない構成課題(入れ子課題)を設定し、課題状況に応じた方略に基づいた行動の促進を試みた。対象児の構成行為の遂行状況と修正行動を分析した。モデルのある構成行為において、高く積む、正方形の形にする等の行動に固執していたが、モデルと構成物を見比べて構成行為を行ったり、修正行動を行ったりするようになった。トラック模倣では、白木積木と色積木それぞれで異なった方略を使用するようになり、家模倣では、2 種類の方略を交互に使用した後、1 つの方略を選択して使用するようになった。その際、遂行状態と目標状態を見比べる行動(解決者の点検活動)を活性化する支援が効果的であった。また、モデルのない構成課題では、左に配置されたカップを中央のカップに重ねる固執した行動から、大きいものから順に重ねる方略や入れ子状態のまとまりを作って操作する方略を使用した行動に変容した。方略を使用することで構成行為が状況に応じたものになり、固執した行動が抑制されるようになった。