筆者らは基本的文献からだけでは捉えきれなかった科学的リテラシーの意味内容について、PISA2006年調査問題などを実際に解くことによって、初等・中等教育の教科「理科」の授業場面に適用できる知見を得ようとこの研究に取り組んだ。
その結果、ある「状況」において「科学の知識」と「科学についての知識」を縦横無尽に駆使しながら「科学的な疑問を認識」し、観察・実験を通して「現象を科学的に説明」し、「科学的証拠を用い」て結論を得ることができる能力や知識や「態度」の総体が科学的リテラシーと捉えられた。このことを教壇に立ち授業を行う教師の立場から言うと、「科学的能力」と「科学的知識」の意味内容の正確な理解を伴った教師が、理科教科書の冒頭に“理科学習の順序”などとして記載されている探究の過程を子どもに辿らせた結果、子どもに身につく力が科学的リテラシーと捉えられた。