これまでの同族目的語構文(cognate object construction)に関する研究では、目的語の解釈に対して大きく3つの立場がとられてきた。目的語を項(argument)と解釈する立場 (Massam 1990, Hale & Keyser 1997, Pham 1998)、目的語を付加詞(adjunct)と解釈する立場(Mittwoch 1998)、その両方の場合を認める立場(Nakajima 2006, Kitahara et al. 2005)である。本稿では、これらのうち第3の立場をとりつつ、①同族目的語構文に現れる動詞の範疇(自動詞か他動詞か)②同族目的語構文に特有な意味論的解釈、すなわち構文の意味の影響を受けて動詞の表わす事態が再解釈されることについて北原(2011)を参考に構文文法の立場から見ていきたい。