今次改訂された『中学校学習指導要領(理科)』に基づいた授業実践を行うに当たり、小学校での既習事項をどのように踏まえ、それを中学校での単元学習にどのように関連させたらよいかを事例的に明らかにしたいと考えた。そのため、小・中学校における学習内容のつながりに視点をあてた中学校第2分野「空気中の水蒸気の変化」小単元を構想し、授業実践を行い、実践された授業に分析検討を加え、小・中学校における学習内容のつながりに視点をあてた中学校理科の授業の在り方を考えるための第一次資料を得ることを目的とした。
上述した目的を達成するために、小学校における既習事項の復習を小単元の冒頭に位置づけるとともに、さらに前回の授業の学習を既習事項として毎回の授業の学習に関連づけるような授業を実践した。その結果、本小単元の主旨が概ね達成できたとともに、既習事項である小学校第4学年「水の状態変化」単元に関する学習内容の定着度も高まったことが明らかになり、小・中学校における学習内容のつながりに視点をあてた中学校理科の授業の在り方を考えるための第一次資料が得られた。加えて、明らかになった課題に対しても、それを克服するための具体案が提案できた。