嫉妬とは何か。嫉妬はどのような欲求によって喚起されるのか。本研究では嫉妬の基底に自己愛が存在するのではないかという仮説のもとに、大学生を被験者に質問紙調査を行なった。まず、予備調査を踏まえ、社会的関係に関する嫉妬10項目、社会的比較による嫉妬10項目、計20項目の嫉妬傾向尺度を構成し、その因子分析から、作意どおりの2つの因子を抽出した。本調査ではこの2種の嫉妬と、自己愛傾向尺度、自尊感情尺度との関連を重回帰分析によって検証した。その結果、社会的関係に関する嫉妬因子は自己愛傾向の注目・賞賛欲求因子と自尊感情尺度の評価過敏因子に、社会的比較による嫉妬は自己愛の注目・賞賛欲求と自己主張性因子に、また自尊感情の評価過敏因子と自意識過敏因子に有意に影響を受けていた。嫉妬を感じる傾向は、自己愛の健康な側面ではなく、病理的側面に通じる因子に大きく関係していることが確認された