本研究の目的は、さまざまな学力の生徒、さまざまな難度の教材に適用できるような、汎用性のある批判的思考力を育む英語授業開発である。本研究では、日本の高校生が身につけるべき批判的思考を具体的に示している楠見(2012)の定義を採用した(「証拠に基づく論理的で偏りのない思考」、「内省的思考(リフレクション)」、「問題解決や判断を支えるジェネリック(汎用的)スキル」)。それらを高めるために、島根県内公立高等学校2校の2年生3クラスを対象に、批判的思考力を育成するための9つの活動を含む3時間の授業実践を行い、生徒の批判的思考力が伸びたかどうかを質的、量的に分析し、考察した。その結果、【理由と共に意見を述べる文章構成の型】を習得させることと、質問とその質問に想定される答えを考えさせることによって、生徒の批判的思考力を育むことができることが明らかになった。