本研究では,教師のかかわりによって生じる子どもが抱く思いや願いに着目し,特別な支援を必要とした青年の振り返りを通して,教師のより適切なかかわりを導き出すとともに,そのあり方を明らかにすることを目的とした。教師のかかわりについて青年に面接し,青年自身が子どもの頃には気づかなかったことを想記したり,その時の自分の思いを意味づけて語ったりした内容を分析した。その結果,教師は,まずは子どもの思いや願いを受け止め,その上で教師の思いや願いを提示していくことが重要なかかわりのポイントであった。また,教師の指導や叱るというかかわりは,子どもがそれによって「支えてもらっている」と感じることができた時にこそ,肯定的に受け止めることができると分かった。そのためには,教師が日々どのようなまなざしで子どもを見ているのかという教師の主体性の検討の必要性が示唆された。