島根大学大学院教育学研究科「現職短期1年コース」課題研究成果論集

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島根大学大学院教育学研究科「現職短期1年コース」課題研究成果論集 7
2016-03-25 発行

学校での発達障害の子どもの支援における心理臨床的な視点について

A Study on the Perspective of Clinical Psychology in Supporting Children with Neurodevelopmental Disorders
川上 久美子
ファイル
内容記述(抄録等)
本研究では,学校での発達障害の子どもに対し,教師やスクールカウンセラーがどのような視点をもっているのかを探るため,小学校の特別支援教育主任とスクールカウンセラーを対象に,面接調査を行った(研究I)。そこで, 三つの観点から面接内容を分析した結果、調査対象者の多くが発達障害の子どもの特性において,環境が影響していると認識していること,スクールカウンセラー群と比較した教師群の特徴として,教師が「葛藤」を抱いているということが明らかになった。研究Iで明らかになった「環境要因」,「教師の葛藤」という点から,事例の検討を行った(研究II)。発達障害の子どもの支援における「心理臨床的な視点」とは,障害という視点でのみからみるのではなく,困難や悩みを抱えた一人の主体として捉え,教師や養育者などとの「関係性」の中にいる子どもという視点と,その関係性の中で子どもが「育つ」という視点であることが明らかになった。心理臨床的な視点を教師がもつことで,より深い子ども理解につながり,柔軟な教育的支援となる可能性が示唆された。