構成行為に問題があると予測され、自発的に行動が起こせない特別支援学校高等部3年の重度の自閉スペクトラム症の男子に、方略を使用した構成的課題を行わせることにより、構成行為の促進を試みた。さらに、構成行為の促進が日常生活での行動に与える変化について検討した。授業実践を行い、対象児の構成行為の遂行状況と修正行動、モデルと指導者に対する注視を分析した。開始当初、自閉症の特徴である固執した行動があった対象児に次の行動の変容が見られた。①見通しを立て方略に基づいてプランを選択して自発的に活動する。②比較注視行動の促進によりモデルと構成物を見比べ構成行為を遂行したり修正行動を行ったりする。③異なる構成行為課題に方略の般化使用を拡げる。さらに日常場面では、次にとるべき方略使用を考えて行動したり、模倣して同じ形を作ったりする等の変容が見られた。方略使用による構成行為の促進が、日常生活場面における自発的活動を促進しうることが示唆された。